登山の仕方「視覚障害者向け」

登山の用具

必要な用具
会の山行には山用の用具が必要です。必ず必要なもの、順次そろえてゆけばよいもの、借用可能なものなどいろいろあります。わからないこと、不安なことなどがありましたら前記の連絡先にお問い合わせください。場合によってはベテランの晴眼者が登山用具店に同行して買い物のお手伝いをします。
必ず必要なものは登山用の靴、雨具、丈夫な杖、それからザック(リュックサック)、水筒です。
登山用の靴は足首の上まである靴底の厚い丈夫なものを用意してください。視覚障害者の山歩きでは晴眼者以上に足に負担がかかりますので、スニーカーでは用をなしません。登山用の靴といっても皮製のもの、布製のものなどいろいろです。靴は山歩きの用具で一番大切なものですので、相談の上ご用意ください。
雨具は傘ではなく、登山用のセパレートの防水衣料が必要です。貸し出しに応じられる場合もありますのでご相談ください。
杖はできるだけ登山用のストックを使ってください。白杖を使う場合は折りたたみ式ではないものをご用意ください。岩場に引っかかって折れることもありますので、丈夫なものが必要です。弱視の方で普段は杖を使われない方は、丈夫なストックをご用意ください。
ザックは日帰り山行ならデイパックで十分です。なお雨が降る場合に備えて、ザックカバーがあれば便利です。用意できない場合は大型のゴミ袋で覆えるように準備するか、ザックの中の物をビニール袋に包んで防水するようにしてください。
次に衣類について説明します。
帽子:夏の日照りの山でなくても、落下物から頭部を保護するため帽子をかぶってください。
サングラス(または眼鏡):枝が張り出している場所は前を歩く晴眼者が注意を促しますが、場合によっては眼球を傷つけることにもなりかねません。全盲の方でも携帯することが望ましいでしょう。
下着:登山用具店ではいろいろ新しい化学繊維の下着を販売しています。山行中は汗をかきますが、木綿の下着では濡れて体を冷やしてしまいます。化学繊維のものがベストです。
シャツ:化学繊維か、冬ならウールのものをご用意ください。木綿のものは、下着同様避けてください。また夏の山行でも山の上は風があったりして冷えますので長袖を用意してください。下着、シャツともに、特に夏の暑い時期は、山から下りると汗でびっしょりになっていますので、着替えを用意すると快適です。
ズボン:ジャージと呼ばれる化学繊維の運動着が便利です。木綿のものは伸縮性がないうえ、汗が体を冷やしますので、はかないようにしてください。ジーパンは絶対に避けてください。
靴下:ウールか化学繊維のものが良いでしょう。くどいようですが木綿のものは避けてください。
続いて持物について説明します。
水筒:1リットルくらいのしっかりしたものをご用意ください。ペットボトルは破損の恐れがありますので、予備的に使う以外は避けてください。冬の山行ではテルモス(魔法瓶)があると便利ですが、お湯を持ってゆく場合も必ず水は持参してください。緊急の場合、水が必要です。
昼食:通常の山行ではお昼の弁当を持参することになります。集合場所の駅で買えないことがありますので必ず家からお持ちください。
行動食:短い休憩の間に口に入れるものです。甘いもの、たとえば飴とかビスケット、チョコレートなど、自分の好きな食べ易いものを用意してください。
軽アイゼン:普通は要りませんが、冬は小さな山でも道が凍って必要なときがあります。必要なときは山行案内に書かれています。
障害者手帳:交通機関の障害者割引のために必要です。集合時に担当者に預けてください。
以上のほか、軍手または手袋、タオル、ちり紙など、各自ご用意ください。
山の歩き方
基本的には3人が一組になります。前を晴眼者が歩き、続いて視覚障害者が、前の晴眼者のザックに左手を乗せたり、ザックに取り付けた紐を左手で掴んだりして歩き、その後ろをもう一人の晴眼者が歩き、足場などの注意をします。電車、バスから降りた地点でミーティングを開きます。参加者の自己紹介、簡単な準備体操、そして班編成の発表などを行ないます。歩く前に班ごとに集まり、そこで実際に一緒に歩く仲間と打ち合わせをします。どのように見えるか、あるいは見えないかを伝えてください。特に弱視の方は、暗いところは見えないとか、下りは不安だが登りは大丈夫とか、具体的にどのようにサポートして欲しいか、仲間に話してください。
山歩きが始まると、前を歩く晴眼者が説明をします。特に危ない場所では、右側が切れているというような説明をします。これは、右側が崖沿いになっていて危ないので気をつけるように、ということです。このような場合には杖で右の斜面を確認しながら歩きます。危ない箇所が終ったら、切れているところは終りました、というような説明があります。
また大きな段差があるところ、足元に倒木があるところ、頭の高さに枝が出ているところなどでは、50センチ登ってとか、倒木があるから跨いで、枝が出ているから頭を下げて、などの注意があります。前を歩く人のザックの動きで山道の上り下りを感じながら歩いてゆきましょう。説明の意味がわからなかったり聞こえなかったりしたら、はっきりと聞きなおしてください。余裕が出てきたら、花が咲いている、向こうに山が見えるというような説明に耳を傾けることもできるようになるでしょう。
休憩や昼食はチーフ担当者から知らされます。短い休憩では水分を補給したり行動食を食べたりします。座り込んだり、あまり休みすぎると逆に体に負担がかかり疲れますので、たいていの場合は40分から1時間に1回、5分から10分程度の立ったままの休憩をとります。昼食は基本的には班ごとになります。班の仲間と交流を深めてください。視覚障害者の山歩きでは、登りより下りのほうが負担が大きい人が多いようです。これは、足を置く場が安定しているかどうか、なかなか把握できないからです。無理をせず、ゆっくり確実に下ってゆきましょう。
山行のペースは山行の担当者がリードします。初めて参加する人がいれば、その人のペースに気を配りながら、ペース配分をしてゆくことになるでしょう。もし途中で、ペースが速くて付いて行くのが厳しいと感じるようになったら、サポートの人にそのことを伝えてください。視覚障害者でも晴眼者でも最初の山歩きは疲れるものです。誰もがそんな経験を経てきて、余裕を持って楽しめるようになっているのです。班長の人が初参加の人の申し出を聞いて、チーフ担当者と相談しながらしかるべき判断をしてくれるでしょう。
なお、山歩きの途中でトイレに行きたくなった時は班長に申し出てください。最初何回かは緊張と慣れない山歩きで疲れることと思いますが、慣れてくれば、山を渡る風や鳥のさえずりにも心傾けることができるようになります。
最後にトレーニングについて少し説明します。視覚障害者の会員の中には日常的にトレーニングをしている人もいます。トレーニングというとちょっと大げさですが、家の中で足腰の屈伸運動や階段の上り下りなどを毎日10分以上するというようなことです。これだけでも初心者にとってはトレーニングになります。どうぞベテランの視覚障害者の会員に相談してみてください。
月例山行の参加
月例山行に参加する場合の手順と心構えを説明します。
最初はのんびりG1か山遊G2コースからスタートするのが良いでしょう。不安なことがあれば問合せ先にご相談ください。
参加を決めたら担当者に電話で参加申込みをしてください。
その時、初めての参加でしたら、その旨必ず伝えてください。それから会員であるかないか、全盲か弱視かを知らせ、氏名、電話番号、電車の乗車駅を伝えてください。
コースによっては集合場所からではなく途中駅から乗車のほうが便利なこともあるでしょうが、初参加の方はできるだけ集合場所から参加して下さい。
山行当日までに山行案内をよく読んで下車駅、コースのポイントなどを把握しておいてください。
集合場所までは原則として各自で行くことになっています。ただ、どうしても無理な場合は、参加者の中に途中から同行できる人がいる場合に限り、途中駅で待ち合わせをしてゆくこともあります。担当者にご相談ください。
集合場所はたいてい駅の改札口です。改札口近くまで歩いてくれば、誰かが声をかけてくれるでしょう。休日の早朝は電車の運転本数が少ないので、余裕を持って家を出てください。
集合場所に着いたら担当者に氏名を伝え、参加費を払い、障害者手帳を預けてください。手帳は障害者割引のために必要なので解散時まで担当者が預かることになります。
電車の中は参加者の交流の場です。隣り合った仲間と交流を深めてください。下車駅近くになると担当者から、もうすぐ降りますと声がかかりますから下車の支度をしてください。できるだけ山行案内で下車駅や到着時刻をきちんと把握しておき、声がかかる前に準備したいものです。
電車やバスを乗り継いで歩き始めの場所まで来たら、全体のミーティングがあり、自己紹介、コースの説明、準備体操を行ないます。
無事に山行を終えたら帰路につきます。チーフ担当者から帰りの電車やバスの発車時刻が伝えられます。会としての行動は集合駅までが基本ですが、もし途中駅での下車を希望する場合は、昼食のときにでもチーフ担当者に伝えておいてください。電車に乗ると切符が配られ、障害者手帳が返却されます。集合場所で解散して楽しい山行は終ります。
※ なお初参加の方には会よりアンケートはがきをお渡しします。はがきは墨字ですが、提出は点字も可能です。今後の会の運営の参考にしますので、忌憚のないご意見ご感想をお寄せください。