| コース |
| 4月10日 出発10:45-休憩11:25-休憩11:50-昼<12:05-12:30>-不納山<13:35-13:50>-休憩14:40-分岐14:55-水晶山15:05-15:15-分岐15:25-下山15:50 |
| 深谷駅を8時20分の新特急が、渋川に着いたのは9時02分。ここで、東京方面から来た
山の仲間の大型乗用車に、八高線からのMoさんとともに乗せてもらい、春の陽が降りそそ
ぐ 上州路を、四万温泉に向かう。今回は、二日間に渡ってSさんが実施する、六つ星の
個人山行への参加である。 梅と桜と桃が、一度に咲く田舎の風景を楽しみながら、車内で話しに花を咲かせている うちに、車は山里に入った。やがて、四万川の清流が左手に見えてくると、温泉街がある 。今夜の宿、国民宿舎「ゆずりは荘」は、旅館街の奥。宿舎の前でも、電車とバスを乗り 継いで来た3人を乗せ、総勢12人になった車は、さらに数百メートル四万川を遡って、稲 (イナツツミ)神社近くの車道脇の広場に止まる。10時15分だった。 ここで、今回の参加者全員が声を出し合い、一日目の目標、不納山に登る準備をする。 空は晴れて、川を渡る風は爽やか。天気予報では、今日の前橋辺りは25度近くになるとい う。 ☆つづら折れの急登を越えて、 実際に山に登るのは、全盲者4人、弱視者2人、晴眼者4人の、10人である。あとの2 人、Tさんのお母さんと、古い六つ星会員のご婦人は、別行動をとることになっている。 視障者をサポートする人が少ないが、弱視者が列の中を歩き、安全を確保する。登山道に 入ってからのリーダーは、山のベテラン、Mさんである。私のサポーターは、T女子。別 行動の2人も、途中までは一緒に行く。 Tさんのお母さんを先頭に、神社に向かって歩きだしたのは、10時45分だった。鳥居を くぐり、社の裏手に回ると、枯れ葉の積もった登山道が、山腹に向かって延びている。新 芽が息吹く木々の梢からは、小鳥たちの声が聞こえる。 道はまもなくつづら折れになって、いきなり勾配が増した。次第に話声のトーンが落ち 、足下の枯葉の音が高くなる。カサコソの音がしなくなると、後ろからリーダーの声。 「ゆっくりでいいから、止まらないで。」 Tさんは、前を行くお母さんと、途中から先頭に出たご婦人を、小声で励ましながら歩い ている。歩きだしてすぐの、急登はきつい。ようやくリーダーから、休憩の合図がでた。 年輩のお二人は、ここでみんなと別れる。
足下は一転してなだらかな尾根の道。左眼下に、四万川ダムを見ながら進むと、
水晶山への分岐。短いつづら折れを越えると、次は左右が開けた稜線。左手には、明日登
る稲包山が、真っ白に雪化粧して、きれいな三角錐の峰を見せている。
その先の斜面の上は、少し平坦な林。ここを越えて、次の斜面に向かおうとした
とき、先頭のTさんが、急に足を止めた。 「カモシカ。」右手前方の藪にいる。一行が見つめても、驚く様子も見せない。まだ若いようだと 、誰かが話している。 山の住人に別れて斜面を登ると、明るく間伐された杉林の中の、広い場所に入ってきた 。時計は12時05分になっている。ここでリーダーから、昼食休憩の合図がある。 ☆6つのピークを越えて 痩せたいといいながら、人のおにぎりまで食べてしまうSさん。食欲がない筈な のに、なぜかお腹には入るHさん。この山行の計画者、S男子と、今回の山行では最年少 のH女子の、会話を聞いているとおもしろい。 ワイワイ ガヤガヤとる昼食は楽しいが、まだ目標への途上。宴席をたたんで再 び歩きだしたのは、12時30分だった。 これからの登りが、今日の最大の難関だという。10人は急登にさしかかった。日 陰に残雪を見つけて、Tさんが私のストックに触れさせる。さらに登ったところには、雪 の上にウサギだろうか、小動物の足跡もある。この辺りからは、杉がまばらになって、岳 樺や落葉松が多く見られるようになった。熊笹も多くなる。傾斜は緩み、また傾斜。 斜面を登りきると、最初のピーク(1221m)に出た。12時57分だった。稲包山、 高田山、谷川などの峰々が、春の日射しを浴びて姿を見せている。ここが不納山頂きかと 思うと、リーダーのMさんが言う。
「このピークが1つ目のピーク。こんなピークが幾つか合って、不納山頂は6つ
目。」誰からとなくため息が出るが、それでもみんなの足は笹を分け、雪を踏みだしてい
た。 「ここで3つ目。」 「ここが6つ。」 「おまけがあるみたい。」
数が分からなくなった足は、またピークを踏んでいた。すると、先頭のTさんが…不納山頂…と書かれた木を見つけた。 その先には三角点もある。Tさんが私の手を標石 に触れさせているうちに、仲間たちも次々にやってきた。不納山頂(1291m)への到着、 13時32分。 広い山頂は、熊笹や、落葉松などの立木に囲まれているが、まだ冬枯れの木々の 向こうは、上信越の山々が展望できる。 「あれが浅間。」 「これが谷川。」 明日登る稲包山も、木立の隙間に、姿を覗かせている。薄く漂う春霞に乗って流れ ていく笛の音。Mさんは、オカリナを吹きだしていた。 ☆水晶山 山頂での景色を楽しみ、枯草の上に腰を下ろしたり、寝ころんだりして休んだ一行は、 13時48分に、来た道を戻って山を降りはじめた。 私はピークを数えながら歩く。大きなピークの間に、小さなピークがあるのか、数は7 か、8になってしまう。翌日稲包山の方から見て分ったが、やはり6つのピークの 他に、小さなピークもある。 滑らないように注意して、小動物の足跡がある 急斜面を下だり、カモシカのいたとこ ろも過ぎる。水晶山への分岐近くまで来て、休憩していると、Mさんが、ここから水晶山 へはすぐだと言う。みんなはそこにも行くことにした。
10分ほど休んで、水晶山へ出発。山頂は、分岐から10分のところにあった。山頂とはい
っても、山の突端にある大岩といった感で、岩には20段ほどの鉄梯子がかかってい
る。梯子の下にザックを置いてよじ登ると、岩の上には祠があり、大人が10名も上がれば
、満員である。水晶山山頂(900m)への到着、15時05分。みんなが腰を下ろしている岩が、点々と光る。昔は、この辺りでも水晶を取っていたと 、誰かが話していたが、この岩も水晶を含んだ岩なのか。 15時15分に、水晶山を後にすると、そこからは稲裏神社をめざして一気に下る。 枯葉のつもったつづら折れの道を、急ぎ足で降りると、今度は、神社の裏から左に折れて 藪を抜け、車を置いた場所に帰る。15時50分だった。 その夜は、国民宿舎「ゆずりは荘」で温泉に浸かり、おいしい酒で団欒しながら、翌日 の山行の鋭気を養う。 |