| コース |
| 5月21日 麦草峠駐車場10.45 - 大石峠11.15 - 中小場(昼食)11.40・12.05 - 茶臼山 頂12.50・12.57 - 茶臼展望台13.03・13.13 - 茶臼山頂13.17 - 東屋14.22・ 14.40 ー 出逢ノ辻15.15 ー 国道15.25・15.35 ー 麦草峠駐車場16.25 |
| ☆麦草峠 朝7時に深谷を発った車は、佐久のインターを降り、旧八千穂村から国道299号 線(メルヘン街道)に入る。雨風が荒れた昨日とは打って変わって、若葉の上に広がる空 は真っ青だ。 六つ星の仲間と出会うことになっている麦草峠まで、私を送ってくれるのは、近 所で生活サポートの仕事をしているMaさん夫妻。 山肌に残雪が目立つようになって、白駒池への入口を過ぎると、目の前に峠が迫 ってきた。赤い屋根のヒュッテが建つ 麦草峠(標高2127m)への到着は、9時32分だった。 ヒュッテの西側にある駐車場に車を止め、外に出るとさわやかな空気が頬にしみる。 「明るい峠。」 「山の春はこれからなんですね。」 今年は4月・5月の気温が低かったせいか、雪解けが遅く、峠の草原は今ようや く新芽が息吹はじめている。そばの藪で鳴くウグイスの声もまだ何となくたよりない。 駐車場で待つこと1時間。 新宿を7時に出た仲間たちのバスが、茅野駅でも1人拾って峠に着いた。これま で静かだった空間が、急に賑やかになった。 私を見つけて近寄ってきてくれたリーダー・Oさんによると、今回の仲間は全部 で21名だという。Maさんと帰りの時間を打ち合わせ、仲間たちの中に入っていくと、私は 3月に縞枯や北横を歩いたTaさんやGoさん、4月に今熊山を歩いたAさんたちと同じ班に なっていた。 ☆大石峠から中小場 一行が登山道に向かったのは10時45分だった。 国道を渡ると右手に茶水池を見ながら、シラビソやコメツガの林に入っていく。 足下には木道が出てくる。
しばらくすすむと、全盲の私をリードして前を行くGoさんと、後ろからきてくれ
るAさんの声。「雪の平均台。」 「幅20センチ。」 林の中にはまだかなり雪が残っていた。所々で線状に踏み固まった雪の細尾根を歩 いては、木道に戻る。
やがて、雨池やオトギリ平への分岐がある大石峠(標高2160m)に着くと、木道
は終わって、足下はゴロゴロとした石の道になる。「梢の向こうに茶臼山。」 道の勾配が増して、周りの林が少しずつ開けると、木々の上に突き出した小さな岩 山の頭に出た。中小場(標高2232m)に着いたのは、11時40分だった。
めざす茶臼山は目と鼻の先にある。後ろには丸山や中山・東西天狗。そして左手
、霞の向こうにはアルプスの山々が広がる。眼下には麦草ヒュッテの赤い屋根も見える。「ここでお昼にします。」 リーダー・Oさんの合図で、21人は思い思いに岩に腰を下ろした。私も、日溜まりで弁当を開く。 ☆茶臼山 再びザックを背にして、中小場を後にしたのは12時05分だった。 今度はAさんが先を歩いて、Goさんが後につく。岩の小山を反対側に降りると、 また林の中に入る。こちらにも雪が残っている。 茶臼の山腹をだいぶ登った辺りで、誰かが言う。 「山肌の木が、ずいぶん枯れている。」 これが、この辺りの山の南西部によく見られる縞枯現象なのかどうか、私には分からない。 足下の雪が消えて、急に道の勾配がきつくなると、平なところに出た。茶臼山頂(標高 2384m)への到着は、12時50分だった。 茶臼の山頂は木々に覆われていて、見晴らしはほとんどない。 「この先の展望台まで行きます。疲れた人はここで待っていてもいいです。 リーダーのそんなすすめには、誰も反応しない。 展望台は、西側の尾根をたどると数分のところにあった。
周りは大きく開け、目の前には縞枯れで有名な縞枯山。その左に北横岳。そして
蓼科山。さらにその左から八の南端にかけては、その奥にまだ雪を乗せた北アルプス・中
央アルプス・南アルプスの山々が、薄霞をまとって連なっている。その左が、阿弥陀をは
じめ南八の山々‥‥。Taさんが私のそばに来て、パノラマのように広がる眺望を説明してくれる。
ほかの人たちも、口々に声を出している。「霞の向こうに乗鞍が‥‥。」 「あれが御岳。」 「そして仙丈、甲斐駒。」 「あの高いのが北岳でしょ。」 日射しは峰々に降り注いでいるのに5月の山の空気はまだ肌寒い。下山の合図に ザックを背負うと、今回の写真係・Tさんの声。八ヶ岳をバックにみんなで記念写真を撮 る。
茶臼の展望所を後にしたのは13時13分だった。☆五辻・東屋 茶臼からの下りは、Taさんが私の先を歩き、GoさんとAさんが後につく。
山頂に戻って、雪が残る林の道を縞枯山との鞍部に降りると、分岐を左にとって
高度を下げる。山を下るにしたがって、周りの雪がシャーベットのように解けだしている。
「セリバオーレン。」Goさんが、雪の消えた道端に、今日初めての花を見つけた。Tさんが駆け寄って、 カメラを向ける。 やがて周りが開けて、ピラタスロープウェイ山頂駅への分岐がある五辻に出た。 目の前には気持ちのいい笹原が広がっている。 ここから先も緩やかに下りが続く。 足下に小川が現れ、雪解け水を集めた流れが、軽やかな音をたてて私たちを追い 越していく。 「きゃー。」 誰かが雪のシャーベットに腰まで入ったよう‥‥。 流れを左に右に渡ると、また周りが開けて、五辻休憩所の東屋がある広い場所に 出た。14時22分だった。 「休憩します。」 東屋の前には小川が流れ、周りには苔むした岩や笹が広がっている。日溜まりの岩 に腰を下ろしていると、Taさんが流れのほとりに導いていってくれた。水に手を浸すと、 痛いほど冷たい。
☆出逢ノ辻を経て 14時40分に東屋を発つ。この辺りから、道脇にはほとんど雪がなくなる。少し下 ったところに、きれいな水をたたえた湿原が出てきた。 「水芭蕉でも咲いていそう。」 「こんなところに、湿原があったんだろうか?」 八ヶ岳に詳しいOさんに尋ねると、目の前に広がるみなもは、雪解けの時期にだけ できる池だという。 途中で国道299号線へ迂回する道が出てくるが、ここではそちらに向かわず、オ トギリ平への分岐がある出逢ノ辻まできて国道に向かう。299号線に出たのは、15時25分 だった。
「ヒメイチゲ。」道路脇で休憩していると、Goさんが今度はヒメイチゲを見つけた。 しばらく休んだ後、麦草峠に向かって国道を少し登り、反対側の山道に入る。こ こからはまたAさんが私の前、Goさんが後ろを歩く。 「ミツバオーレン。」(まだ花はまだのようだ) 「セリバオーレン。」
こちらの山道に入ってからも、オーレンの花たちは沢山姿を見せてくれた。山の北斜面にかかると、岩陰や木陰に、雪や氷の塊も出てくる。 「前に赤い屋根。」 麦草峠の駐車場に戻ったのは、16時25分だった。 国道越しに南の方を仰ぐと、青白い空の下に、今登ってきた茶臼山が、クッキリ とその山容を見せている。 「あの山に登ってきたんですよ。」 駐車場で私を待っていてくれたMaさん夫妻に、Taさんが今日のコースを説明してく れた。 私たち3人がみんなに別れて、麦草峠を東へ下だり、関越に乗って深谷に帰った のは、19時丁度だった。東京方面に帰った人たちは、中央自動車道で渋滞に遭い、新宿に 着いたのが21時過ぎだったとか‥‥。 花はまだ少なかったが、天気と眺望に恵まれた、素晴らしい山行だった。東京へ のバスの中は、酒盛りが続いたことだろう‥‥。 |